昭和31年に建設された武蔵野緑町団地は建物の老朽化、居住水準の向上を目的に平成3年から建替え事業がスタートし、平成15年にすべての工事が完了した。
武蔵野緑町団地の設計の特徴は、第1に既存樹木の100%活用である。団地建設時に植栽され、大きく豊かに成長した既存の緑を可能な限り保存・移植活用し、伐採樹木はベンチの座板やチップなどに再利用し、100%のリサイクルを行った。
第2の特徴は、団地コミュニティの継承である。建替えによる団地空間の高層高密化がコミュニティの崩壊につながることが多いが、ここでは高齢の入居者が多いことなども踏まえ、団地の屋外空間すべてがコミュニティ形成のきっかけとなるような空間づくりを行っている。
第3の特徴は明るく安全・快適な屋外空間の創出である。建替え前は緑が多い反面、うっそうとして薄暗く、通風・採光など居住環境上の問題も抱えていた。そこで、既存の大径木を点景木として活用をしつつ、広がりのある芝生地を基調とした景観をつくり出した。
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