東京農業大学世田谷キャンパスの経堂門及び、構内・歩道部整備の設計である。
門及び周辺整備による大学のイメージアップ、そして開かれた大学として地域貢献を兼ねた歩道空間の創出を目的としている。設計にあたっては、サクラの古木を保存し、大学の歴史の継承と環境保全への姿勢を風景化すると同時に、道路に沿った環境空地帯の整備に合わせて、安全に通行できる歩行空間を創り出すことが求められた。
デザインの主眼は、門柱と壁の構成、即ち「門がまえ」に置かれた。門柱と壁の仕上げ材を珪藻土を用いた粗がき仕上げとすることで、正門の石造の重厚な門がまえに対し、柔らかさと暖かさを持ちながらも堂々とした「かまえ」を醸し出している。
区道から2.0〜2.4mセットバックして生み出した歩道部は、農大正門-世田谷通り沿いと同様の素材を用いた低い腰壁とフェンス・生垣によって、フォーマルではあるが柔らかな境界を創り出した。境界沿いに残した5本のソメイヨシノとスダジイの古木は、敷地のセットバックによって、街路景観の中で風格のある存在を顕在化させ、歩道を行き交う学生や地域の人達を見守りながら、暖かく大学へと誘っている。 |