計画地は交通の便が良い北京市中心市街地の南部にある高級住宅街の一角を占めている。
計画地の東には先農壇や古壁、古門、西には陶然亭公園が位置するなど歴史と文化の薫り高い地区でもある。本計画では歴史性と、現代性を織り交ぜ、中国の新しいまちづくり、住宅づくりを意図した。
北京の街の原形は城壁で囲まれた都市で、街は四合院と呼ばれる囲み型住宅で構成されるなど、スケールの大小を問わず囲み型の構造をもち、それぞれが四神相応の原理で成り立っている。
四神獣のひとつである「朱雀」は世の中が泰平の時にしか現れないものと伝えられ、「朱雀門」は厄災払いと大いなる福の門として都市の南を守ってきた。
本計画では団地全体を北京の街に、南北の住棟に囲まれた園地を四合院に見立て、壁やフェンス、みどりを用いて囲みの空間をつくっている。園地は遊び、運動、休憩をテーマにした囲みのユニットで構成し、それぞれの園地はこの3つのユニットの組替えでつくられている。各園地には四合院を象徴するザクロやナツメをはじめ四季折々に楽しめる花木が植栽されている。
計画地の南には「朱雀門」をモチーフにした朱塗りの列柱ゲートを配し、団地の守り門としての役割をもたせている。また、「朱雀」をイメージした形や朱の色を施設のデザインに取り込み、団地全体に配している。 |